水害から身を守るには?
避難のタイミングから避難時の注意事項まで。知っておきたい水害対処法

気候変動の影響もあって、大型台風や長雨や豪雨による河川の決壊、土砂崩れ、都市部ではゲリラ豪雨での冠水など、毎年大きな水害が繰り返し報告されます。
夏から秋の台風シーズンを迎えて、万が一の時はどう行動すればいいのでしょうか? また常日頃から準備しておくこと、水害に備えるにはどんな保険を選べばいいのか?など。自分と家族の命や、暮らしを守るための対処法を解説します。


自分や家族の身を守るために、避難のタイミングを知っておこう


昨今、毎年のように大きな水害のニュースが報じられます。被害が大きく痛ましい映像はあらためて大雨の恐怖を感じます。このところよく使われるようになった気象用語で「線状降水帯」などという気象用語が頻繁に聞かれるようになりました。「線状降水帯」とは、積乱雲(発達した雨雲)が、線状に次々に発生して、ほぼ同じ場所を通過・停滞する自然現象で、結果として非常に強い雨が特定の地域に長時間連続して降り続けることとなる現象です。
このような激しい降雨で、河川の水が溢れ出したり、土砂が崩れたりという事態になると広範囲に被害は拡大して、家財はもとより人命への被害も深刻なものになってきます。
特に、台風や集中豪雨が多い春から秋にかけては(一般的には6月から10月までの5か月間)、国土交通省は出水期として洪水への備えを呼び掛けています。
増水した河川の流水の勢いは、どんなに事前に対策をしようにも、一たび決壊した時の猛威は人の力では防ぎようもありません。また大きな河川が無い都市部においても集中豪雨による浸水で大きな被害が出ることもあるので、水害にあう可能性は誰の身にも起こりうることです。自然がもたらす災害には抗うすべはないので、洪水、土砂崩れなどの水害の脅威を認識し、自分や家族の身を守るための正しい知識と危機感を持つべきです。
いざ避難すべきなのか?という事態に直面した場合、どういうタイミングで避難行動をとるべきなのかなかなか判断がつきづらいこともあります。
気象庁発表の大雨警報や洪水注意報の発令には、段階的な違いがあります。「注意報」なのか「警報」なのかで避難の対応が変わってくるので、まずはその違いは知っておきたいところです。

  1. 「注意報」の場合は「災害が起こる可能性がある」ので、対応としては「避難の準備が必要」

  2. 「警報」の場合は「災害が起こる可能性が高い」となり、対応としては「避難が推奨される」。自治体によって避難指示が出る場合もあります。

  3. 「特別警報」の場合となると「大きな災害が起こる可能性が高い」ので「緊急な避難が必要」で自治体から強制的な避難指示が出ることもあります。最近ではテレビのニュースなどでも「少しでも自ら命を守る行動をとってください」と注意を促すようになってきているのを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

また、令和元年6月より、災害発生の危険度を直感的に理解して避難行動をとることができるよう、防災情報を5段階の「警戒レベル」を用いて伝えることになりました。この基準ととるべき行動は以下のとおりです。

  1. 「警戒レベル1」の場合は「災害への心構えを高める」

  2. 「警戒レベル2」の場合はハザードマップなどで「避難行動を確認」

  3. 「警戒レベル3」の場合は「危険な場所から高齢者等は避難」。高齢者等避難発令

  4. 「警戒レベル4」の場合は対象地域住民のうち「危険な場所にいる人は全員避難」。避難指示が発令

  5. 「警戒レベル5」の場合は「命の危険。直ちに安全確保」。緊急安全確保が発令


人間は、自分が予期しない非日常的な事態に遭遇したとき、心の安定を保つために、目前の出来事を正常の範囲内だと認識しようする心理が働く「正常化バイアス」によって、危険を過小評価し危機回避が遅れることが往々にしてあります。また避難したのに大したことがなかった場合、避難が無駄に感じてしまったりすることもあると思いますが、無駄になってよかったと発想を切り替え、注意報や警報のレベルの一つ前から行動に移すくらいのタイミングで避難行動に移るべきでしょう。そして、もちろん危険を感じたら、それらの情報にこだわらず自らの判断で早めの避難をするようにしましょう。

また危険の度合いを知ろうと、わざわざ河川の様子を見に行くのはもってのほかです。わずかの間に急に水位が上がり、増水した河川に流されてしまうケースが、災害時に必ずと言っていいほど発生しますので絶対にやめて欲しいと思います。洪水の恐れがある場合は早目に河川から離れることを順守しましょう。

車での避難は危険度が高いことも知っておくべき


車を使っての避難は安全なようでいて危険も多く伴います。大雨・洪水・津波などで浸水した際の、水面から地面までの深さのことを浸水深といいますが、浸水深が大きくなると、自動車の走行に支障をきたし、避難行動が困難になるので、車を使う場合は、水位が上がり始める前に避難することが重要です。
台風や大雨の際は、急な道路の冠水や川の増水が起こりやすくなっています。冠水した道路は、見た目だけでは水深をはかることができないため、いざ進入してしまうと、思いのほか深いことがあるのです。車内にいると、クルマの床面以上の水深であっても、ただちには浸水してはこないため、危険を察知するころには、クルマが浮いて前後に動かなくなり、エンジンの吸気口が水を吸ってしまったり、排気管が塞がれたりで、エンジンが停止、そのまま立ち往生という結果にもつながりかねません。車が水没してしまうと、外からの水圧によってドアが開かなくなって脱出がしづらくなることも頭に入れておく必要もあります。
運転中に大雨に遭遇した際は、川沿いや海岸沿いのほか、高架下や立体交差のアンダーパスなど周囲より低い場所には絶対に進入せず、迂回するようにしましょう。水位が上がってからの自動車避難は大変危険なため、控えるべきです



都市部だからといって安心できない


街なかに住んでいるから土砂崩れは考えにくいし、周辺に大きな川も無いから、といっても安心はできません。近年、頻発するゲリラ豪雨による都市部での建物の浸水などの被害も数多く報道され、目にすることも多いと思います。
都市型水害が発生するにはいくつかの要因があるのですが、最初に挙げられるのが、都市部では地表がコンクリートやアスファルトで覆われているために保水・遊水機能が低下していることです。
都市部では、地表が舗装されているため下水道や雨水管で雨水を排出します。しかし、短時間に大量の雨が降ることなどによって、この排水処理能力を超える水が流入した場合、水が溢れて建物の浸水などの水害が発生することがあるのです。このような水害は、大雨などで河川の水位上昇により起こる氾濫である外水氾濫に対して、内水氾濫と呼ばれます。
地下街や地下鉄などの標高が低いところはもとより、標高が低くなくても、ちょっとした窪地などであれば一気に水が溢れかえり、内水氾濫が発生することがあります。特に注意すべき危険箇所としては、先ほども挙げましたが、道路のアンダーパスや車道トンネルといった場所で、車で通行しようとして水没することがあります。さらに、地下室、地下駐車場などの水が集まりやすく狭い場所も、浸水、水没してしまうことが考えられるので注意が必要です。
外水氾濫と比べると浸水する深さは浅いため、大災害になることはあまりないのですが、フタの外れた水路に落下したり、冠水したアンダーパスに車で突っ込んで水没したりなど、命の危険にかかわるケースもあるので、甘く見ないようにしましょう

自分の地域のハザードマップを事前にチェックしておこう


これらの水害から身を守るためにまずやっておくべきことは、自分の住んでいる場所の河川などからの位置関係や、避難の導線などを調べておくことです。
国土交通省および都道府県では、洪水予報河川及び水位周知河川に指定した河川について、洪水時の円滑かつ迅速な避難を確保し、また浸水を防止することにより、水害による被害の軽減を図るため、想定し得る最大規模の降雨により当該河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域を洪水浸水想定区域として指定、指定の区域および浸水した場合に想定される水深、浸水継続時間を洪水浸水想定区域図として公表しています。
また市区町村では、洪水浸水想定区域図に洪水予報等の伝達方法、避難場所その他洪水時の円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な事項等を記載したハザードマップを作成し、印刷物やインターネットなどで住民に周知しています。短時間の集中豪雨による内水氾濫を仮定した内水ハザードマップと、河川からの氾濫を仮定した洪水ハザードマップがありますので、近くに河川がない人も含め、確認しておく必要があります
これらのハザードマップを確認し、あらゆる場面を想定し、どこの避難場所に行くべきか、家族や知人同士で情報を共有しておきましょう
なお、実際の避難時は以下の点を覚えておいてください。

  • 実際に歩いて避難するときは、避難中に被災しないよう足元に十分注意し、避難するルートはいくつか想定しておき、できるだけ河川から離れた高い道路を通ることをこころがけたいものです。

  • 避難する道がすでに冠水しているときは、足元がどうなっているかよく見えないので、注意が必要です。歩き慣れた道であっても、マンホールの蓋が外れて吸い込まれるということも起こりうるので、冠水している道を通っての避難はやめるようにしましょう。

  • やむを得ず冠水している道を通る際は、杖のような棒を持って、足元が大丈夫か確認しながら避難するのがいいでしょう。

国や自治体ではハザードマップとともに、避難する際の注意や、何をもって避難すればいいのかなどの水害に関する防災情報を提供するサイトがあるので、こちらもチェックしておき、普段から防災への備えをしておきたいところです。

■関連サイト

▶ 特集 風水害から身を守る : 防災情報のページ - 内閣府

▶ あなたも危険な場所にお住まいかもしれません! 土砂災害から身を守る3つのポイント : 政府広報オンライン

▶ 台風や集中豪雨から身を守るために ~自分で行う災害への備え~ : 気象庁

▶ 知る防災 : 日本気象協会


水災を補償してくれる保険の知識


もしも不幸にして水害にあった場合、家屋や家財の補償はどうなるのでしょうか? 浸水被害の原状回復や生活再建には莫大な費用が掛かってしまいます。一般的にはこれらを補填するのが火災保険や火災共済で、水害(水災)の場合も保障されます。ただし、古い保険・共済では水害に関しての補償がない商品があったり、新しい保険・共済であっても水災補償を付帯していない場合があります。また建物の補償はあるが、電化製品や衣服などの家財に対して補償の対象としていない場合もあるので、この機会に補償内容をチェックして欲しいと思います
なお、被害としては似ていますが、地震により発生した津波での流失・損壊は火災保険の対象外なので、地震保険の加入でもしもの時に備えておきたいものです。


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